中田厚仁氏没後30周年記念行事 国連ボランティア計画(UNV)事務局長トイリー・クルバノフ からのメッセージです。(仮訳)
メッセージ代読の模様は下記の動画をクリックしてください。
参加者の皆様へ、 本日、故中田厚仁氏に敬意を表し、皆様をお迎えできることを光栄に思います。1993年に亡くなってから30年、私たちは、カンボジアの平和で民主的な社会のために国連ボランティアとして活動することを選んだ若者の献身とコミットメントを思い出すためにここにいます。 中田厚仁氏は、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)を支援する465人の国連ボランティアの一人で、地区選挙監督官として活動しました。コンポントム県で、中田厚仁氏はコミュニティレベルでの選挙プロセスの組織化と、カンボジアの人々に選挙と民主主義の原則を伝えることに貢献しました。彼はわずか25歳で、クメール語通訳のレック・ソフィーフとともに、襲撃で命を落とし、家族、友人、同僚に大きな衝撃を与えました。 今日も、そしてこれからも、私たちは、「アツ(中田さんは友人たちからそう呼ばれていました)」を、ダイナミックで活発、情熱的な青年として記憶し続けています。安全な場所から人々の問題について遺憾に思うだけでなく、自ら進んでボランティアに参加し、行動を通して連帯と支援を示ことを選んだ人として記憶しています。 ドイツのボンにある国連ボランティア本部の役員フロアには、活動するアツの大きな絵が飾られています。この絵は、アツの献身的なボランティア精神を、組織で働く私たちに思い出させてくれるものであり、私たちは、ボランティアが職場で活躍するための安全な環境の確保に取り組む決意を持っています。 また、彼の父である故・中田武仁氏の貴重な貢献にも、この場を借りて敬意を表したいと思います。息子さんの死後、中田武仁氏は「平和と発展に貢献したい」という中田厚仁氏の思いを受け継ぐことを約束しました。名誉大使として、UNV、そしてより重要なボランティア活動を世界中に広めることに貢献されました。 中田武仁氏は、ボランティア活動の貢献と将来の可能性について、熱く、そして頻繁に語ってくれました。多くの国を訪問する中で、彼は地域社会、NGO、政府関係者、メディア、そして何よりもまず、国連システム内外で活動するボランティアなど、多くのパートナーにインスピレーションを与えました。 中田厚仁氏の遺志を受け継いだ父は、2001年の「国際ボランティア年」の原動力の一人となりました。日本政府が提唱し、国連総会で宣言された国際ボランティア年は、ボランティアとボランティア活動の力を世界的に認知させるものでした。 1993年、中田厚仁氏は国連システムを支える3,600人の国連ボランティアの一人でした。30年間でこの数は3倍近くに増え、2022年には12,400人以上の国連ボランティアが活動し、165カ国の55の国連パートナーとともに働いています。 1971年に最初の日本人国連ボランティアが派遣されて以来、日本からは1,000人以上が国連ボランティアとして活躍しています。近年では、毎年100人前後の日本人が国連ボランティアとして活動しています。その多くは、プログラム、保護、平和構築の担当者として、アジア太平洋地域や東・南部アフリカを中心に世界各地で活躍しています。
UNVの平和維持活動への参加は、1990年代初頭に中田厚仁氏とその仲間たちが派遣されたことに始まります。昨年は、3,730人の国連ボランティアが文民要員として国連事務局機関やミッションを支援しました。このうち、最も多い1,706人は平和維持活動に直接従事し、ミッション支援だけでなく、人権、コミュニティでの調整、保健、広報に関する業務の基幹となっています。 今日は、UNVの元事務局次長の長谷川祐弘先生が来てくれています。そしてこの機会に、私は長谷川氏がUNVを国連平和維持活動の強力なパートナーに変貌させるために果たした役割を、大きな感謝をもって伝えたいと思います。今日、世界的な混乱や危機が発生すると、UNVは、国連パートナー機関の対応を支援するために、国連ボランティアの迅速な展開を中心とした緊急対応へ集中することが求められます。あらためて長谷川先生が、UNVの歴史の中で重要な岐路に立ち、転換期を迎えているときに、献身的に助けてくださったことに感謝します。 この組織は、アツの逝去という辛い体験から学びました。UNVと国連機関は、奉仕する国連ボランティアの安全と安心を確保することに尽力しています。私たちは、国連ボランティアの福利、安全、利益を守るために努力を続けています。今日の私たちの進歩は、長谷川先生が何年も前に始めたことを引き継いでいます。ボランティアの学習は、こうした努力の一部であり続けています。UNVは、ボランティア体験の質と影響を促進・強化するために、知識の生成、共有、学習に尽力しています。 ドイツ本部をはじめ、世界各地にいる12,000人以上の国連ボランティアとUNVスタッフを代表し、この場を借りて中田家に心からの感謝の意を表したいと思います。 そして、私たち全員が、中田厚仁氏と中田武仁氏の思い出を大切にすることを呼びかけたいと思います。UNVと世界中のボランティアにとって、彼らは常にインスピレーションの源となることでしょう。 世界が幅広い深刻な課題に対処するために、より強力な国連を必要としている現在の状況において、思いやりと連帯が連動する場であるボランティア活動の精神は、これまで以上に重要な意味を持つと強く信じています。 国連事務総長は先日、世界は決裂か躍進かの厳しい選択に直面していると述べました。UNVでは、「連帯」がブレークスルーを達成し、ブレークダウンを回避するのに役立つと信じています。
UNVは今後も、ボランティア活動を通じて平和と開発を促進し、ボランティア活動に意欲的な人々のための環境づくりを支援します。
最後に、本日は、本行事を主催して下さいました、長谷川祐弘先生が率いる京都国際平和構築センターおよび京都芸術大学、そして共催の世界連邦日本国会委員会に御礼申し上げますとともに、日本政府の継続的な支援により、UNVがその使命を果たすことができることに、心から感謝申し上げます。
来客の皆様、ご列席の皆様、本日のご参加とUNVへの継続的なご支援に心から感謝いたします。
ありがとうございました。
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