基調講演の模様は下記の動画をクリックしてください。
基調講演の要旨
今日4月8日はUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)で、自由・公正なカンボジアの選挙の実施のために活動していた中田厚仁さんが銃撃を受けて亡くなってから30年になります。
京都芸術大学、外務省、国連ボランティア計画が『中田厚仁30年平和フォーラム』を実施し、私は基調講演を行いました。UNTACの特別代表を務めた明石康氏など、国連や各国政府で活躍する平和構築、平和外交のエキスパートが参加される中、約40分、お話ししましたが、皆さんの途切れることのない熱心な視線を感じ、私の問題提起が基点になって、民主化支援の在り方や、日本の平和貢献の在り方など様々な議論がなされました。このような機会を作れたことを本当にありがたく思います。
下記の様なテーマでお話ししました。
1. 中田さんの足跡をまとめた絵本『中田厚仁物語-夢は世界を平和にすること』を通して中田厚仁さんのパーソナリティーの紹介。この絵本はクメール語研修の2か月間、ルームメートだった時に直接聞いた彼の言葉を引用して編集し、すでにカンボジアと日本で約3500部配布されている。
2. 自由で公平な選挙の実施のために命を懸けた彼の遺志を継ぐ活動として、衆議院議員として、カンボジアの選挙制度改革に取り組んだ。有権者登録のプロセスに二重登録などの不正が起こり得ること、それをコンピューター化することで不正を防ぎ得ることを国会で提案した。その結果、コンピューター化に生体認証機能も加え、自由公正な選挙を行う制度的基盤はできた。しかし、カンボジアでは2017年に野党第1党・救国党は国家転覆を図ったとして解党させられた。変化を望む国民が投票する政党がなくなり2018年の選挙で与党人民党が125議席全てを獲得した。カンボジアの民主主義は危機的状態にある。
3. 中田厚人氏が人生の終焉を迎えた場所にできたナカタアツヒト村と『アツ学校』の現状を紹介。現在は小学生300人、中学生が130人学んでいる。貧困のため学校に通えない子どもも多いため、NGOインターバンドは補習授業実施のための支援をしている。
4. 日本の平和貢献の在り方について問題提起を行った。特にカンボジアの選挙制度改革による学びを、同じような選挙プロセスの不正が民主化の阻害要因になっているミャンマーなど第三国にどのように応用して実行するか問いかけた。
中国の影響もあり、民主化しなくても豊かになれると考える国が増えています。どのように民主主義の質を向上させ、ひとりひとりを幸せにするシステムに進化させるか、これは今後の大きな課題です。この2日間一緒に考えていきましょう!
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