4月5日から2日間にかけ、中田厚仁氏没後30周記念行事が、京都芸術大学の瓜生山キャンパスにて開催された。主催は京都芸術大学京都国際平和構築センターで、後援は外務省、国連ボランティア計画、そして世界連邦日本国会委員会であった。本行事には、当時中田氏と一緒にミッションに参加していた元職員や、現職の国連職員、外務省関係者、並びに平和構築における専門家など、幅広い参加者が集った。
今から遡ること30年前、当時25歳だった国連選挙監視員・中田厚仁氏は、UNV選挙監視員としてカンボジア総選挙の支援準備作業に従事する中で命を落とした。彼の遺志はその後、多くの人に語り継がれ、今もなお平和への推進力となっている。
1日目の午前の部は、石月英雄 外務省・審議官・大使が林芳正外務大臣のメッセージを代読した後に、横須賀恭子 国連ボランティア事務局次長が挨拶した。中田厚仁と親交の深かった元職員の絵本を交えたプレゼンテーションを行い、中田氏の元同僚が語った当時のカンボジアでの反応と混乱の様子、また、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)を国連事務総長特別代表として率いた明石康氏の基調講演などが催された。午後の部は、4つの分科会「平和の文化」「国連平和維持活動および平和構築におけるボランティアの役割」「民主主義と平和の関係」「日本の国連ボランティア:過去・現在・未来」に分かれ、それぞれで議論を行った。
2日目は、各分科会からの議論の報告から始まり、岸田文雄内閣総理大臣からのビデオメッセージを含む記念式典が開催され、吉川左紀子京都芸術大学学長、加納雄大内閣府日本国際平和協力本部事務局長、中野寛成元衆議院副議長・元国務大臣 国家公安委員長、福山哲郎 元外務副大臣・学校法人瓜生山学園理事、SAO Khoradin駐日カンボジア公使、KICMARI Sabri コソボ共和国 大使が挨拶された。最後にマルワラ国連大学学長が基調講演を行い会議が締め括られた。午後には京都伝統の「京おどり」が披露され行事は終了した。
カンボジアでその尊い命を失った中田厚仁氏の平和への遺志。本行事で多くの議論がなされ、平和へまた1歩近付いたというその事実は、中田氏の遺志が現在もなお生き続けているという、まさにその証明であった。
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